アメリカオハイオ州・サンタマルタ・マイクロソフト本社・AM5:20
本社の朝は早い、なぜなら会長であるビル=ゲイツ自身、社員一早く出社するからである。
銀縁眼鏡にネクタイなしの背広、少し小太りな体系の、マイクロソフト社会長のビル=ゲイツは
今日も朝早く本社の自動ドアをくぐる、いつものように警備員と遭い「ニーハォ」と挨拶する、別に
警備員が中国人なわけではないが、なぜかそう挨拶をするのだ。
彼はそのまままっすぐ行き、ロビーの中央の大きい階段を上り、エレベーターホールへと向かう。
エレベーターの↑スイッチを押すと、ほどなくエレベーターが下りてくる。
そして彼を乗せたエレベーターは上がっていくのである・・・。
同時期マイクロソフト本社の朝は早いもう一つのゆえんが、一般社員にもある。
すこし短めの背広に細い目、ぶしょうひげの男研究員1は、昼夜リズムが逆転した社員の多い
なかでも比較的早く起きる方である。いつも目覚しよりも早く起きる彼はこの日も5:30分ごろに
起きていた。その向かいでは二度の修理から帰ってきたパソコンに向かい、必死に
締め切り前の仕事をやっているのは、寝ているときも付けているサングラスにだらしなく着込んだ
ワイシャツ、なぜかベルトの代わりにネクタイを締めている男研究員Aである。
彼いわく仕事は締め切り直前にやるのが美学であるらしい、そんなことを思い出しながら研究員1
は研究員Aの方を見るが、目を真っ赤に充血させて必死に仕事をしている彼を見ると、
もうそんな余裕は残ってないな・・・と思いため息をつく。
そのまま彼はコーヒーを沸かしに行こうとしたその時、バスン!今まで明るかった、廊下の電気
部屋の電気、机の上のミニライトまでもがいっせいに消えたのである。
あれ?停電か?と研究員1が思ったその時!ガタン!!びっくりして振り返ってみると、
研究員Aが倒れているではないか!急いで駆け寄り「おい!大丈夫か!?」と声を掛ける。
すると少し意識を取り戻したのか研究員Aは・・・「バッ・・・バックアップ・・・とってネェ・・・」
と言い残して再び倒れた・・・。
「おまえ3日間寝てなかったからな・・・」
研究員1は携帯電話で救急車を呼ぶことにした・・・。
一方エレベータに乗っているビル=ゲイツはすこし、いやかなり困っていた。
少し前の時間に戻ってみよう。。。
彼はエレベータに乗り、8階のボタンを押した、ほどなくしてエレベーターが動き出す。
すると!まだ3階にも到達していないあたりで周囲の電気が消え、エレベーターが止まったのである。
「と・・・止まった・・・」
彼はしばし自分の置かれている状況を考えてみた、何気にエレベーターで閉じ込められたのは
初めてのビル=ゲイツ。
落ち着けビル=ゲイツ!おまえはマイクロソフト社の会長だ!何でもできるペンタゴンにだって
FBIにだってクラッキングできるじゃないか!彼は自分に言い聞かせるようにブツブツ独り言を
つぶやく・・・。
やがて「ジョ・・・ジョブスめ」と何かを悟ったかのようにアップルコンピューターの会長の名前を
つぶやく、相当混乱しているようだ。
やがてハワイに行ったときに必死に覚えたファイアーダンスを踊り出す、彼いわくウインドウズXP
の原点はファイアーダンスだそうだ。
3分ほど踊り彼はやっと非常時の呼び出しボタンに気づく。
表示には非常時の場合はここを押してくださいと書いてある。
早速彼は電話のマークがついた黄色いボタンを押してみる。
・・・・ほどなくして「どうしました?」と管理センターから応答がある。
ビル=ゲイツはほっと胸をなでおろし、「ピザの宅配を頼みたいんだが・・・」と、とんちんかんな事を言うコントロールセンターの職員は一瞬たじろいで(効き間違えだと信じて)もう一度聞いてみる
「あの〜どうしました?緊急ですか?」と聞いてみる。
しかしさらに混乱したビル=ゲイツは「だからピザの宅配を頼みたいと言ってるだろうに!」
と声を荒げて言う。コントロールセンターの職員は、なんだいたずらか・・・と思い通話を切る、
しかしかまわずビル=ゲイツは「えーとイタリアンバジルをLサイズでピクルスは抜いておいてね」
「場所は〜」と言いかけて、ビル=ゲイツは自分の置かれた状況に気づく。
もう一度黄色い呼び出しボタンを押す。コントロールセンターの職員は、やれやれまたか・・・と思い
「はいもしもしどうしました?」と露骨にいやそうな声で答える。
こんどこそビル=ゲイツは「すいませんエレベーターに閉じ込められてるんですけど」と言う
しかしコントロールセンターの職員はまたこいつか、とため息をつき、「それならピザ屋にでも電話してください」と言い通話を切る。
しばし考えた後ビル=ゲイツは、そうかピザ屋に電話すればよかったのか・・・と勘違いしてピザ屋に彼の携帯電話で電話する、2コールした後「はいもしもしピッチャーラですけども」
とピザ屋の店員が出る「ご注文でしょうか?」と今日初のお客に愛想よく振舞うピザやの店員。
しかし「あの・・・エレベーターに閉じ込められてるんですけど」とビル=ゲイツ
わけもわからず(聞き違いだと信じて)ピザ屋の店員は「あの〜ご注文でしょうか?」と改めて聞いてみる。
しかし、「いやあのエレベーターに閉じ込められていて・・・」と必死に状況を説明するビル=ゲイツ
ピザ屋の店員は、困ったピザ屋でのバイト生活3年・・・エレベーターに閉じ込められた客は初めてだ・・・と思い「あの〜とりあえずご注文を・・・」と最善の処置(?)をとる。
戸惑いながらもビル=ゲイツは、「あっえーとそれじゃあイタリアンバジルをLサイズで、ピクルスは
抜いておいてね」と言うさらに「そうじゃなくてエレべー・・・」とビル=ゲイツは言いかけたが。
ピザ屋の店員は、「どこのエレベーターにお届けすればいいのですか?」と聞いてみる、先手必勝である。
つられてビル=ゲイツは、「あーそうだねマイクロソフト本社の8階におねがい」そしてまた「だから
そーじゃなくて・・・」と言いかけて、またピザ屋の店員は「わかりましたそれでは10分少々お待ちください」と言い電話を切ってしまった。
・・・呆然と立ちつくすビル=ゲイツ。
しばらくしてロビーに救急車が到着する研究員1は研究員Aを担架に乗せ、救急車に乗り込んだ。
その救急車と入れ違いにピザ屋の宅配バイクが入ってくる、だれだこんな時間にピザなんか頼んでるやつと思いながらも救急車で出発する研究員1。
そのころ会長室では会長の出勤にあわせて早く来ている秘書が、お茶を飲んでいると、部屋をノックする音がする、会長かな?と思い「はいあいてますよ」と言うと入ってくるピザ屋。
「どうもいつもありがとうございます宅配です、え〜と2100円になります」とピザ屋、
驚いた秘書だが、「あの・・・誰からの注文ですか?」と聞く、
ピザ屋は「え〜と会長さんからですね」と答える。
またあの会長か・・・と頭を抱えつつも料金を払い、ビル=ゲイツに電話する。
またファイアーダンスを踊っていたビル=ゲイツの携帯電話に呼び出しが入る。
「はいもしもしビル=ゲイツ」といつもどおりの応対をするビル=ゲイツ。
ため息を付きながらも秘書は毎秒97文字のスピードでクレームを言う。
その言葉で我に返ったビル=ゲイツは、「そうだ今ファイアーダンス・・・じゃなくてエレベータに閉じ込められてるんだ!助けてくれ!」
と本題に入った・・・・・。
病院から戻ってきた研究員1は、研究員Aの欠席届を出しに会長室に行くと、無事救助された
ビル=ゲイツとその秘書は、イタリアンバジル(ピクルス抜き)を食べていた。